AIドライビング人事評価 ・投稿日:2026年10月31日

AIは今、「36協定の青天井」の時代にいるとは?

質問(現場の視点)

AIの使い方について、社内のルールを作ろうとしたところ、役員から「AIのことは、そのうち国が法律で決めるだろう。それを待ってから作ればよい」と言われました。確かに、法律ができてから合わせるほうが、二度手間にならずに済むようにも思います。中小企業は、AIの法律やルールが整うのを待ってから社内の決まりを作っても、遅くはないのでしょうか。

Chat先生の回答(AI)

社労士として思い出すのは、時間外労働の歴史です。

2019年に上限規制が法律に入るまで、時間外労働には、罰則付きの法律上の上限がありませんでした。告示による基準はあっても、36協定に特別条項を付ければそれを超えることができ、事実上の青天井でした。長時間労働で働く人の命や健康が失われる出来事が重なって、ようやく法律に上限が書き込まれました。原則は月45時間・年360時間、特別条項を付けても年720時間までです(中小企業は2020年4月から)。

AIは今、ちょうどその青天井の時代にいます。日本では2025年にAIに関する法律(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法))ができましたが、これは生成AIをはじめとするAI技術の発展は、国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与する一方、国内のAI開発・活用は遅れており、また、多くの国民がAIにより発生するリスクに不安を抱えている状況です。
 AIのイノベーションを促進しつつ、リスクに対応するため、令和7年6月4日にAI法が公布・一部施行され、9月1日にはAI戦略本部の設置に係る規定等も含め、全面施行されました。

では、法律ができるのを待てばよいのでしょうか。時間外労働の歴史が教えてくれるのは、法律の上限は、多くの場合、事故が重なった後にできるということです。待っているあいだに起きた事故は、法律が守ってはくれません。

青天井の時代にも、多くの会社は、36協定で「うちはここまで」という上限を自分で決めてきました。AIも同じです。法律ができる前に、会社ごとにAIの制限速度を決めておく。それが、事故が起きる前にできる、いちばん確かな備えです。

詳しくは、『AIに鍵を渡しているのは誰か ― AI安全管理三点セット』(2026年12月刊行予定)で解説しています。

(2026年10月31日 小山田政義 特定社会保険労務士)

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