AI職務権限規程 ・投稿日:2026年10月27日
ホームページは誰が守っているのか
質問(現場の視点)
数年前に制作会社にホームページを作ってもらいました。その後の更新や安全管理は、誰の責任なのでしょうか。
Chat先生の回答(AI)
契約で決めていなければ、誰の責任にもなっていません。多くの中小企業で、ホームページは「制作会社が作って納品した」ところで止まっています。社長は専門家に任せたつもりでいて、制作会社は頼まれたものを納品したつもりでいる。その間にある「納品した後、誰が守るのか」という問いが、誰のものにもならずに残っているのです。この隙間を埋めるために、社会保険労務士の小山田政義(AI労務デザイン室)が提唱しているのが、「Web安全管理三点セット」です。
「納品で終わり」という隙間
保守の契約は結ばず、社内で管理画面にログインする人もいない。本体もプラグインも数年前のまま。管理者のパスワードは、制作当時のものが使われ続けている。そういうサイトは珍しくありません。
ここで大事なのは、誰かが悪いわけではないということです。社長は、仕組みが分からないからこそ専門家に任せました。制作会社は、約束どおりに作って納品しました。どちらも自分の役割を果たしたと思っている。だからこそ、隙間が隙間のまま残ります。
守るべきものは「見た目」ではない
ホームページが改ざんされるというと、トップページが書き換えられる場面を思い浮かべるかもしれません。しかし、本当に重いのは、見た目の裏側です。
採用ページの応募フォームには、応募者の氏名、住所、電話番号、経歴が届きます。問い合わせフォームには、顧客や取引先の連絡先が届きます。それらがサーバーの中に残っていたり、担当者のメールに溜まっていたりします。
サイトが書き換えられただけなら、それは「ホームページの問題」です。しかし、応募者の情報が持ち出されれば、それは「個人情報の漏えい」です。不正アクセスによる漏えいであれば、たとえ一件でも、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が必要になります。この瞬間、ホームページは「広告の問題」から、「人事労務と法令対応の問題」に変わります。
まず、三つの問いから
自社の状態を知るのに、技術の知識は要りません。次の三つを、社内で聞いてみてください。
ホームページを更新しているのは誰か。保守の契約はあるか。
最後に更新したのはいつか。
フォームから届いた応募者や顧客の情報は、どこに残っているか。
このどれかに「分からない」という答えが返ってきたら、それは失敗ではありません。誰も把握していなかった場所を見つけた、という最初の発見です。
隙間を埋める三点セット
隙間を埋めるには、三つの文書が要ります。
Web安全管理方針:経営者が自分の名前で出し、ホームページに公表する約束です。「お預かりした情報を、こう守ります」と外に示します。
Web安全管理契約:会社と制作会社の間で結ぶ約束です。更新の期限、事故が起きたときの報告の期限、誰が鍵を持つのかを決めます。
Web安全管理規程:社員が守るルールです。就業規則の附属規程として、管理画面の扱い方や、事故に気づいたときの報告の仕方を定めます。
企業間の契約は行政書士の仕事で、社員の規程と研修は社会保険労務士の仕事です。経営者の方針を頂点に、外との契約と社内の規程がそろって、初めて三角形になります。
そして、年に一度の点検と、上司の一言
文書を作っただけでは、会社は守れません。年に一度、点検表で状態を確かめて、代表者に報告する。そして、事故に気づいた社員が「すぐ言える」かどうか、報告を受けた上司が「言ってくれてありがとう」と言えるかどうか。守りの最後の一線は、技術ではなく、人と人の間にあります。
さらに詳しく
三点セット(方針・契約・規程)の全文と、25項目の点検表は、書籍『ホームページは誰が守っているのか』(2026年10月31日発売予定、Kindle)に収録しています。自社の点検には、iPhoneアプリ「Web安全管理 実践力手帳」をご利用ください。