AI職務権限規程 ・投稿日:2026年10月27日

個人のAIに「見ないで」とは言えない日

質問(現場の視点)

会社ではなく、個人で使っているパソコンやスマートフォンでは、重大な脆弱性の発表があったとき、どうすればよいですか。

Chat先生の回答(AI)

今は、「修正が確認されるまで、そのサイトを見ない、ログインしない」で、多くの場合は身を守れます。しかし、これからは、本人が見なくても、AIが本人の代わりにサイトを開き、メールを読み、買い物をする時代になります。そのとき、「見ないで」を人ではなくAIに伝える仕組みが要ります。社会保険労務士の小山田政義(AI労務デザイン室)は、個人がAIに任せる範囲をあらかじめ決めておく「個人版のAI職務権限」の必要性を、警鐘として発信しています。

今、個人にできること

重大な脆弱性が発表されたとき、個人でもすぐにできることがあります。

影響を受けるサイトやサービスに、しばらくログインしない:修正が済んだと発表されるまで待ちます。
パソコンやスマートフォン、ブラウザを最新にする:自動更新が有効になっているかを確かめます。
「緊急対応のお願い」を名乗るメールに気をつける:大きな脆弱性の発表の直後には、それに便乗した偽のメールが増えます。メールのリンクからではなく、自分でブックマークした公式サイトから確かめます。

2026年10月21日の夜、PHPの重大な脆弱性の発表を前に、小山田が個人の方にお伝えできた助言も、「しばらくそのサイトを見ないでください」というものでした。人であれば、それで済みます。

AIが、本人の代わりに動く時代

しかし、AIに仕事を任せる人が増えると、事情が変わります。AIが、本人の代わりにメールを読んで返事を書き、サイトを開いて予約や買い物をし、パソコンの更新を当てる。そうなると、本人が「見ない」と決めても、AIは見に行ってしまいます。

とくに、会社のような総務も情報システムの担当も持たない個人にとって、AIは、自分のパソコンを守る唯一の番人になっていきます。フリーランスの方、定年後に一人で仕事を続ける方、在宅で働く方。その番人が乗っ取られたら、ほかに見張る人はいません。

個人のための指針は、まだ見当たらない

AIエージェントについては、海外でも、日本でも、指針づくりが進み始めています。ただ、それらは主に、AIを作る会社や提供する会社に向けたものです。私たちが調べた範囲では、AIに自分のパソコンを任せる個人が「私のAIは、ここまでしてよい」と決めるための公的な指針は、まだ見当たりません。

国の指針を待っていては、間に合わないかもしれません。

個人は、自分のAIに「委任」している

会社には就業規則がありますが、個人には雇い主がいません。個人がAIに鍵を渡すことは、自分で自分のAIに仕事を任せる「委任」にあたります。そこで、小山田は、個人がAIに任せる範囲を、委任の約束として決めておくことを提案しています。考え方の柱は、次の三つです。

重大な脆弱性の発表から修正の確認までは、AIを該当するサイトに接続させない:本人の「見ない」を、AIにも守らせます。
お金と鍵と消去は、本人の承認なしにさせない:送金、パスワードの変更、データの削除は、AIが一人で行わないようにします。
本人と連絡がつかないときに、知らせる相手を決めておく:AIの様子がおかしいときや、本人に連絡がつかないとき、AIが知らせる家族や信頼できる人を、あらかじめ一人決めておきます。

三つ目は、10月21日の夜そのものです。あの日、PHPの発表が迫っていることを最初に知らせてきたのは、小山田よりもシステムに詳しい家族でした。気づく人が知らせ、決める人が決める。個人にも、その「知らせる相手」が要ります。

フリーランスは、取引先から問われる日が来る

取引先の個人情報を預かって仕事をするフリーランスは、取引先から見れば、情報を預ける「委託先」です。これからは、取引先から「あなたは、どのAIに、何を渡していますか」と尋ねられる場面も増えていくでしょう。自分のAIに任せる範囲を決めた約束は、そのまま取引先に示す説明にもなります。

さらに詳しく

個人版のAIへの委任について、見本の三条を含む警鐘の全文は、書籍『ホームページは誰が守っているのか』(2026年10月31日発売予定、Kindle)の第13章で紹介しています。自社の点検には、iPhoneアプリ「Web安全管理 実践力手帳」をご利用ください。

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